【映画レッド】夏帆・塔子を原作から読む「君は地味で綺麗なんだよ」ネタバレ

夏帆・塔子、押してもダメなら、さらに押せ!

夏帆演じる塔子の性格は、「流されてしまう」。
いい子にしてなきゃ、いい主婦でいなけりゃ、いい〇〇でいなけりゃ、と思っているが、欲やずるいところがないせいか、意外に女の弱い部分を突かれると抵抗できない。女の性なのだろうか? 男の私には、よく分からない。

ところで、塔子の想い、これは男女共通だろうか?
「好きになってから抱き合うのだと思っていた。快感が先に来て、それによって体から引きずり出される言葉(好き)だなんて知らなかった」

男にとって都合がいい? 塔子に共感する女性は多いの?

男性の押しを拒否できない塔子。
現代に生きる女性には、そんな女は少ないと思う。それはマスコミや雑誌などの上辺だけで、内心は押し弱く、男性に引っ張られるのを待っている?

塔子を理解しようとすると、女という壁がある。しかし、押してもダメなら、さらに押してみろ! 女が開くかもしれないと思ってしまう。
しかし、現代のセクハラではないが、女の方が受け入れられる男性限定なのは間違いない。

それにしても、作家島本理生の人物設定は、ズゴイなと感じました。物語の展開ではなく、塔子はどんな性格なのか考えながら読んでみると、塔子の性格にはある種の女の弱さが奥にあります?

鞍田「ありがとう。君は」
塔子「は、い」
鞍田「どうされるのが好きなのかな、と思って」
塔子「……ごめんなさい、本当に分からないんです。自分の快感って追求したことがなくて。触られるのも苦手で、こちらからするほうが楽だったし」

塔子「どうして、私なんですか?」
鞍田「確かに派手ではないけれど、君は地味で綺麗なんだよ。そういうほうが俺は燃えるんだよ」

【レッド】夏帆・塔子の性格を原作から読む。

映画Red夏帆

夏帆・塔子の子ども時代の潜在意識

幼い私はいつも灰色や紺色のスカートばかり穿いている。
私が、その理由を尋ねるよりも先に、母は、
「あなたは赤やピンク色の服が全然似合わなかったから」

塔子「私の好きなものはたいてい私に似合わないから」
鞍田「じゃあ好きで似合うものを見つけるんだな。はっきり言って30代にもなって似合うものが分からないなんていうのは、ただの怠惰だよ。今の君が会社に来ても、近所の主婦が迷い込んできたように見えるよ」

鞍田「君は男の幻想を壊さないんだよな。不用意に下品なことを言ったりプライドを傷つけたりしないし、甘えに付き合うだろう。どうしてそんなに合わせるのか、ちょっと気になってたけど」
塔子「それは、もしかしたら私が子供の頃にいくつかの家を転々としてたからかもしれないです」
「離婚してから、母がしばらく根をつめて働いていて。だから私、週末以外は知り合いや親戚の家に預けられていたんです」

塔子「その家の息子とか知り合いのおじさんに、たまに冗談ぽく抱きつかれたりとか。あと、もっと短いスカートを穿いてきてって頼まれたり」
鞍田「え?それはかぎりなく黒に近いグレーじゃないか。君、そのとき、まだ小学生とかだったんだろう」
塔子「うん。でも、まさか子供の自分が異性として見られてるなんて想像もしなかったし。なにより自分はよその子なのにお世話になってるっていう気持ちが強かったから、拒絶して嫌われたらいけないと思ってて」

夏帆・塔子、今の結婚時代

他人が稼いだお金を使うという感覚がどうしても受け入れられないだけだ。
大人になってようやく自由を得たはずなのに、Tシャツ1枚買うだけでも親の顔色を、うかがって無駄遺いだと怒られないかビクビクしていた少女時代に帰ったようだった。

男の人と言い合うのは昔から苦手だった。それは多少偏見があったり、感情的になっていたとしても、女の主張よりは圧倒的に正論だからだ。

鞍田「君は、もしかしたら家庭が上手くいってないんじゃないか」

夏帆・塔子、友人矢沢の証言

塔子は、友人矢沢茉希(まき)にかつての不倫相手・鞍田のことを告白します。
塔子「愛人だった」
矢沢「そっかー。塔子って、昔からそのへん謎だよ。真面目そうに見えて、意外と男に流されるところがあるよね」
矢沢「常識的にしなきゃとかいい妻でいなきゃとか、たまに言い切っているときがあって、びっくりしたもん。そういう意識にがんじがらめになっているのって、私は見ていて心配だよ」

塔子は、一番がんじがらめになっているのはこれだろうと思った。
『いい母親でいなきゃ』

夏帆・塔子、再就職の前

鞍田「出会ったときから君は本当に一貫してるな。自信がないって言うわりには妙なところで鷹揚で、いつも緊張しているわりには変に隙があって」

「女性として扱ってもらいたい」
塔子、どうしてその欲求からこんなにも逃れられないのだろう。

鞍田さんとの関係は私にとって、まったくの白紙だった。正確には、向こうだけが設計図を持っていて、だから必死に正解を探してしまう。よくできたと誉めてもらう、ために——?
「真君(夫)には、そんなこと期待したこともないのに」
服を選ぶ手を止めて、思わず咳く。あんなにも父性とはほど遠い人なのに、私は心のどこかで求めているのだろうか。得られなかったものを。

塔子の父は、東大の大学院卒。西洋美術史の研究をしていたが、同じ研究生と恋をし、離婚し、海外へ。また、祖父も画家で変わった人だった。

夏帆・塔子、小鷹の押しに流される。

塔子の再就職歓迎会の後、同僚の小鷹に飲みに強引に連れて行かれ、いきなり肩を抱き寄せられ、や、と声にならない声が漏れると同時にキスされていた。

軽く触れただけの唇の隙間から舌が入ってきて、口の中でもつれた。こいついきなり、と思ったけれど、なぜか不快じゃなかった。唇も舌も薄くて、そのせいか図々しさを感じなかった。あれだけ煙草を吸ってたわりには口臭もなく、着ている服からやけに甘い匂いがする。
押しのけたくなる手前で引いては、また唇が重なる。だんだん頭がぽうっとしてきて、自分でもどうしていいか分からないくらい、生まれて初めてキスを気持ちいいと感じていた。肩からずるっと滑り落ちるように力が抜けていた。

「あ、そ。じゃあ今からカラオケ行こうよ」
薄暗いカラオケボックスで、小鷹さんは流行りの曲を続けざまに歌ったかと思えば、勝手に入力した曲を私に歌わせたりして好き放題だった。そして曲の合間に、肩を抱かれてキスされた。後半はあまり記憶がないけれど、かなりいちゃいちゃしていた気がする。

カラオケボックスを出たら雨が降っていて、小鷹さんがとなりのビジネスホテルを指差して、雨宿りしよっか、と訊いたときだけ、私はくっきりと意識を取り戻して、帰らないと、と告げた。
それでも彼が、そっかー、と残念そうに笑ったら、急に切ない気持ちになった。

女という性を内包したまま、母親という役割を生きることがどれほど危ういか。あれほど軽薄で自分勝手だと分かっていた小鷹さんにさえも言い寄られたら、あっけなく傾いてしまうくらいに。
もうこんな機会はないかもしれない。
夫と子供までいる自分にアプローチしてくれる。
そう考えてしまうことが、私の弱さだ。自覚はあるのに。

塔子「子供時代は、母やまわりの大人に気を遣って、いい子にしなきゃって我慢して。家を出て自立してからは、安定した経済力とか理想の家庭とか、生まれ持ってこなかったものを追い求めるのに必死で。それが自分にとって本当に欲しいか、どれくらい必要なのか、落ち着いて考える暇もなかった。馬鹿ですね」
鞍田「それくらい孤独だったんだ。君は」

塔子、最後の決断

癌で再入院して鎌倉に戻ってきた鞍田に、塔子は娘・碧を浜辺で紹介します。仲睦まじい三人の一時が過ぎていきます。塔子は、この三人で暮らすことを思い描きます。
しかし、お腹をすかした碧が塔子に甘えます。
「ママ、美味しいもののお店にはパパも来る? みどちゃんはね、パパとママで行きたい」
その瞬間、塔子の思いは、砂に書いた文字のように消えさったのです。
鞍田は、聞こえないふりをしていた。

塔子を演じる夏帆・プロフィール

日本の女優、タレント、ファッションモデル。
【生年月日】 1991年6月30日 (年齢 28歳)
【生まれ】 東京都。二卵性双生児の姉弟の長女。
【本 名】 Kaho Indō
【身 長】 164 cm
【事務所】 スターダストプロモーション 夏帆

2003年
ティーン向けファッション雑誌『ピチレモン』(2003年から2005年)やジュニアアイドル誌『Pure2』などでモデルを務める。

2004年4月〜2007年3月
若手女優の登竜門として知られる三井不動産販売の「三井のリハウス」11代目リハウスガールに選ばれ、3年間CMに出演

2007年
主演映画『天然コケッコー』での演技が評価され、日本アカデミー賞や報知映画賞をはじめ、多数の新人賞を受賞

2012年10月〜11月
WOWOWの連続ドラマW『ヒトリシズカ』(誉田哲也原作。次々に発生する殺人事件が謎を呼ぶ警察ミステリー)で初めて「闇を持つ女性」を演じた。

2015年
出演作『海街diary』が第68回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品される。この作品で、日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞した。

2020年
主演作『ブルーアワーにぶっ飛ばす』での演技が評価され、高崎映画祭 最優秀主演女優賞を受賞した。

2020年2月21日【Red】公開

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