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第6章 ストレス、そして懸依を恐れない生き方
《感情より理性が大事》
最終章では、ストレスに振り回されず、上手にコントロールする新しい生き方について探ります。それが愚依を遠ざける生き方でもあるからです。
ストレスを排除しようとストイックになりすぎて、逆にストレスを感じるということもあります。それでは本末転倒ですし、幸せではありません。何事もバランスが大事ですし、感情ではなく理性で考え、行動することが必要です。
新書版250ページの本ですが、[最終章]は実に広範囲にわたって、具体的かつ深い内容です。【目次】を見てもわかるように、日本の文化・未来にまで及んでいます。
そして、2020年11月未だ猛威を振るっている新型コロナウイルスに対処するには、あたかも自然治癒力を呼び覚ます必要があると予見しているような「自然治癒力、言霊の力」項目もあります。この本が出版されたのは2019年10月で、まだ新型コロナウイルスの影も形もない頃です。
各項目全部ではありませんが、印象に残った部分を抜粋しておきます。
しかし、あなたご自身、江原啓之著『あなたが危ない!— 不幸から逃げろ!』を手にとって読んでほしいと思います。
—食べることは生きること、生きることは食べること—
You are what you eat.
【目次】
視野を広げて生きよう
感情より理性が大事/今こそ生命倫理を
アンガーマネージメント
ストレスの多い食材を食べていないか?/音と環境がもたらすアンガー/言葉を持たない人はキレやすい
日本文化を見直す
日本の良き文化を守る/真のお祭りとは/人間は、"しょうもない"生きもの
便利なことはあなたにとって本当に幸せか
物質主義的価値観の土俵から降りる/文明の利器を正しく利用する/うつになるヒマもない/日本の未来を経済学者に問う
食べることは生きること、生きることは食べること
感謝していただく/豊かな食を目指して知恵を使おう/家族揃って食べる日を作る
自然治癒力、言霊の力
生きものには生命力がある/言霊の力/自然治癒力を呼び覚ます
自分の足で歩く時代が来た
聖水を自分で作る/他力本願なんか必要ない
【対談】
食養生断食指導者 小針佑太×江原啓之
ストレスを避けられない時代に〜現代人のためのデトックス・禊ぎ
断食道場の現場から/健全な禊ぎとは/断食から自分を知る/心地よい暮らしで命を活かす
今こそ生命倫理を
日本はどこまで進歩していくのでしょうか?
そして、どこまで進歩したらいいのでしょうか?
その進歩に、倫理は含まれているでしょうか?
私は大学でスピリチュアリズムの授業を持っています。学生たちに、倫理や命、そして死とは何かを伝えていますが、生命倫理は今の時代にとても大事なことだと思っています。
アンガーマネージメント—ストレス の多い食材
放牧され、牧草だけを食べてのびのびと健康的に飼育された牛は、やはり手間がかかっていますし、飼える頭数も少ないぶん、値段が高くなります。食べ放題の焼き肉屋などでは、まず並ぶことはないでしょう。
安くてお腹いっぱい食べたい若者たちが口にしているのは、どんな肉かと考えると、ストレスフルな肉ではないか。そして最近の若者がキレやすいのは、もしかしたらストレスフルな肉を食ぺているからではないか。そんな推測もできるのです。
若い人に限らず、アンガーマネージメントを考えるなら、肉食を止める、あるいは量ではなく質で選ぶのがいいのではないでしょうか?
言葉を持たない人はキレやすい
なぜ赤ん坊は、お腹か空いたり、おむつが濡れていると泣くのでしょう?
まだ言葉を覚えていないからです。泣くことで自分の気持ちを表現し、伝えているのです。
大人になってもキレる人というのは、赤ん坊と同じではないかと、私は思います。言葉を持っていない。つまり、自分の気持ちを相手に伝えることをしない、あるいはできないという幼稚化が進んでいるのです。
(中略)
「何がいいの?ちゃんと説明して」と言っても、「もう面倒くさいんで」でおしまい。こちらがいくら聞く姿勢を示しても、伝わらないとわかると、それ以上は伝えようとしないのです。これではお互い、ストレスがたまったままです。
本書で最初から述べていることですが、言葉化するというのはとても大事です。
ところが世の中は、SNSを始め、言葉をなるべく使わないでコミュニケーションしようという流れになっています。自助改札しかり、タッチパネルしかりです。
物質主義的価値観と文明の利器
ストレスの根源は物質主義的価値観。それを理解し、変えていくことがストレスに振り回されずに生きるための大きなポイントです。
つまりこの物質界で闘うのではなく、食や環境に対して責任主体で動けばいいということ。言い換えれば、物質主義的価値観の土俵から自ら降り、生活を変えるのです。
まだ都会暮らしに憧れたり、便利な生活がいいと思っていますか?
この世で生き残るには、衣食住があればいいのです。裏を返せぱ、衣食住に関わることだけ選び取っていけば、生きていけるのです。
(中略)
物質主義的価値観の土俵から降り、生活を変えるとしても、文明の利器をすべて放棄するのは現実的ではありません。文明の利器を正しく利用しながら、不便も受け入れればいいのです。
終わりに
江原啓之著『あなたが危ない!— 不幸から逃げろ!』1,200円(税抜)で、こんなに濃い内容の本は珍しいほどです。私は本を買う時、いつも「〇〇セミナー」に参加するとしたら、時間とお金はどれほどかかるだろうか? と考えます。
この本の内容で江原啓之さんが講演したら、講演料はいくらでしょうか。また、会場に行くにも時間とお金がかかります。そう考えると、本は安いと思います。電子出版本でしたら、さらに1〜2割は安くなります。
でも、KIndleなど電子出版本は、まだなじめません。
最後に、フランスパンの話を抜粋しておきます。今の日本の食品業界も消費者も考えなければいけない、食の文化と知恵ではないでしょうか。
「なんでクルトンなんかスープに入れんだろう?」と長い間思っていましたが、納得しました。クルトンは好きになれませんが。
日本で売られるパンは、たいていは日持ちを良くしたり、膨らみを増すような添加物などが入っていて、何日も軟らかいままのものがほとんどです。
一方、フランスで売られる伝統的なフランスパンは、法律で添加物を入れることが禁止されているそうです。当然ながら材料はシンプルでヘルシーになります。そのため焼きたては外がカリッと、中はふわっとしていますが、翌日になると全体が硬くなります。「凶器になりそう」というのは冗談にしても、焼きたてとはほど遠いのです。でもだからダメだというのではなく、翌日は卵や牛乳に浸して軟らかくし、フレンチトーストにして、おいしく食べきっています。フランスパンのアレンジはいろいろです。オニオンスープに浸したり、パンプディングにしたり、はたまた硬いまま小さく切って、クルトンとしてスープに浮かべたり。どれも工夫しながら使い切っていて、素晴らしいと思いました。
フランスの街で、バンを片手に歩く人を見ると「おしゃれだな」と思います。と同時に、
「なぜ毎日、バンを買いに行くのだろう。少しは買いだめすれぱいいのに」
との疑間もわいていましたが、硬くなるから、買いだめができないことも納得できました。