「運」をどれだけ合理的にコントロールできるかは、人々にとって永遠の謎であるように思われます。
しかし、松下幸之助氏の賢明な質問や心理学の研究から、運を合理的に味方につける方法が見えてきます。幸運の引き寄せに関する秘訣は、自己啓発の視点から洞察を得ることが鍵となります。
松下幸之助氏は、採用面接の最後に決まってこんな質問をしたという。
「あなた、自分が『運がいい』と思いますか」
(『週刊現代』12/30 1/6号より）
自分が「運がいい」と信じることが重要
明治大学教授で心理言語学を専門とする堀田秀吾さんの研究によれば、「自分は運がいい」と思い込む人は、その思い込みに基づいて優れたパフォーマンスを発揮しやすいという結果があります。
実際、ドイツ・ケルン大学の実験では、「ラッキーボール」と告知されたボールを打つ被験者が、カップイン確率が35％もアップしたという結果が示されました。こうした思い込みは、幸運を引き寄せるきっかけとなります。
次に、運をコントロールするための「秘術」が紹介されています。
堀田さんは、「運気は目の前にある池で、運はその中で泳ぐ魚のようなもの。運をつかむためには、池の中の魚を釣る行動が必要」と説明しています。つまり、運を引き寄せるためには積極的な行動が不可欠であり、「自分は運がいい」という思い込みがその行動を後押しする役割を果たすとされています。
「失敗への向き合い方」も運をつかむ上で重要な要素です。失敗に対してくよくよせず、すぐに忘れることが運を引き寄せるためには欠かせません。一度の失敗でくよくよすると、次に前進することが難しくなるため、ポジティブな姿勢で失敗に対処することが勧められています。
(『週刊現代』12/30 1/6号より）
行動を起こすための「習慣化」
新しいことを始めることは脳にとって負担がかかりますが、それを習慣化することで気軽に続けられるようになります。例えば、金曜日には新しい場所を訪れる、定期的に新しい習い事を検討するなど、「習慣」を通じて新たな行動を定着させることが運を引き寄せる手段となります。
また、右手を強く握ることが行動に対する意欲を高める効果があるとされています。右手を握ることで左脳が活性化され、新しいことに挑戦する意欲が刺激されるとの研究結果が示されています。これにより、運を引き寄せるためには積極的な行動を起こす意欲を高めることが期待されます。
（脳の左側＝アクセル、右側＝ブレーキ）
「予言の自己成就」や書き初めを通じて目標を明確にすることも、運を引き寄せる手段として有効です。人間は願望を言語化し、イメージを鮮明にすることで、無意識のうちにその願望に向かって行動する傾向があります。したがって、ポジティブな予言や目標設定は、運を引き寄せるために有益です。
「気分よく過ごす」が大切
「気分よく過ごす」ことが大切であることが強調されています。気分が良い状態で行動することで、良い選択をしやすくなり、運を呼び寄せる効果が期待されます。生活の中でのちょっとしたケアや自分を甘やかすことも、運を引き寄せる上で効果的であるとされています。
大谷翔平選手の「目標達成シート」
岩手大学教授で臨床心理士・公認心理師でもある奥野雅子さんによれば、大谷翔平選手の行動は驚くほど理にかなっており、その背後には高校1年生の時に書いた「目標達成シート」があるそうです。
このシートには「ドラ18球団」という中心の目標が掲げられ、そのために必要な「体づくり」や「メンタル」など8つの重要項目が設定されています。
興味深いのは、その中に「運」が含まれており、そこから「部屋そうじ」「ゴミ拾い」「あいさつ」といった具体的な目標が導き出されていることです。
奥野さんの考えによれば、これらの目標はすべて「気分がよくなるもの」であると指摘されています。気分がよくいることが非常に重要であり、自分の感情状態が良い中での行動選択は、自分にとって良い選択になりやすく、運を呼び寄せる効果があるとされています。
「予測できない出来事」に柔軟に対応
宮永博史さんの研究によれば、想定外の出来事に柔軟に対応することが、運を「幸運」に変える力を持つとされています。
実例として、ウェザーニューズの創業者石橋博良さんの経験が挙げられており、想定外の事態に柔軟に対応することが成功の鍵となる例として紹介されています。石橋博良さんは、弁当会社からの予想外な要望に対して柔軟に対応し、これをビジネスの拡大につなげました。経営学者ピーター・ドラッカーの言葉通り、イノベーションの成功は「想定外の機会を生かすこと」に起因しているとされ、石橋さんの経験は偶然を「幸運」に変える力を示唆しています。
まとめ
運を引き寄せるには行動、褒めること、気分の良さ、柔軟性を持つことが不可欠です。また、他者との関係においても、他者の長所を見つけ褒めることが運を引き寄せる力となります。
例として、大谷翔平の「目標達成シート」が挙げら、自身の運を引き寄せるためには気分の良い状態を重視していたことが示唆されています。
実際の成功例や研究結果を通じて、運を合理的にコントロールし味方にするための手法が具体的に示されました。合理的なアプローチと実践的な方法を組み合わせることで、運を引き寄せる確率が高まります。
このような考え方や行動が、個人やビジネスにおいて幸福と成功をもたらす可能性があります。したがって、日常生活や仕事においてこれらのアプローチを取り入れ、積極的な運用が期待されます。
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