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「鹿島立ち」の言葉の元となった石碑

鹿島神宮・大鳥居

霰降り 鹿島の神を祈りつつ 皇御軍に 我は来にしを
万葉集より−皇御軍すめらみいくさ)/大舎人部千文(おおとねりべのちふみ)
故郷を後にした軍人が、鹿島の神タケミカヅチに祈願した歌。この歌より出発する門出を「鹿島立ち」と言うようになりました。石碑は、大鳥居の右にあります。

「鹿島立ち」の言葉の元となった石碑

鳥居から3分ほど参道を歩くと、赤い楼門(日本三大楼門)があります。

鹿島神宮・楼門(日本三大楼門)

江原啓之「今いくべき聖地」鹿島神宮。要となる決意を支える地

鹿島神宮・タケミカヅチ像タケミカヅチ石像(奥宮から要石に向かう林道の途中)

伊勢神宮に次ぐほどの存在として、
篤い崇敬を集めてきた古い社には、
今に至るまで損なわれることなく守り継がれてきた、
神秘のエナジーが宿っている。
その神々しさには、思わず圧倒されるはず。

常陸国一之官にある鹿島神官は、「古事記」に描かれた「国譲り」の神話に深いかかわりを持つ神社です。ご祭神として祀られているタケミカヅチの神は、アマテラスの命を受け、出雲のオオクニヌシのもとに向かった使者であり、国譲りを見事に成功へと導いた方だからです。こうした言い伝えから、鹿島神宮は国家鎮護のご神徳で知られ、古くから多くの人々の崇敬を集めています。

もちろん、単に格式のある神社だというだけの理由で、今こそいくべき聖地としてご紹介するわけではありません。鹿島神宮には、現代人が失ってしまった心を取り戻すための、大切なメッセージが秘められていると思うのです。

鳥居がある珍しい鹿島神宮の拝殿

取村に訪れた日も、たくさんの参拝者が集まってきては、敬虔に析りを俸げていました。軽薄なブームに踊らされ、しっかりとした心構えもなく手を合わせているだけでは、あれほど張りつめた空気は生まれません。幽玄な森林の雰囲気に溶け込むかのように、静かに首(こうべ)を垂れる人たちの姿を見ていると、これこそが聖地巡礼のあるべき姿だと思えてなりませんでした。

江原啓之さんが見た、天空に昇っていく龍神

鹿島神宮本殿とご神木鹿島神宮・ご本殿、ご神木と龍神(イメージ)

ご神域に人ったとき、私の目には、天空に昇っていく龍神が視えました。スビリチュアル・サンクチュアリでは、神秘的な体験をすることも多いのですが、あれほど生き生きとしたご神霊の顕現は、めったにあるものではありません。
強く大きく、まさに「昇龍」そのものの龍神を拝見できた喜びは本当に格別なものでした。龍神のお姿が目に入った瞬間、鹿島神宮について何を伝えるべきなのか、はっきりとわかりました。天の声は、私に

「鹿島神宮は、意を決すべき場所である」

と、教えてくださったからです。
龍神が示されたお言葉こそ、この宮が、「今こそいくべさ神社」である理由にほかなりません。

鹿島神宮・奥参道鹿島神宮・奥参道(この先に奥宮があります)

鹿島神宮・奥参道のハートの樹鹿島神宮・奥参道にある有名なハートの樹

「意を決する」という言葉を忘れた日本人

鹿島神宮・奥宮鹿島神宮・奥宮(タケミカヅチの荒御魂を祀っています)

私たちの日常生活のなかで、「意を決する」という言葉は、あまり使われなくなりました。単純に物事を決めていくだけでは、わざわぎ意を決したとはいわないからです。

日本は言霊の国ですから一つ一つの言葉には深い意味が込められています。人生の岐路に立ったとき、強い心を持って自らのいくぺき道を選び、決して揺るがない覚悟を固めたときにこそ、私たちは意を決したというのです。

本来、人が一生を過ごすなかで、意を決すぺき時は次々にやってきます。進路を選んだり、人間関係に悩んだり、仕事上の判断を求められたり。結婚相手を選択するときも、やはり大きな決意が必要です。それなのに、現代人が「意を決した」といわなくなったのは、それだけ人々の心が軽くなってしまったからではないでしょうか。深く自らを省みることなく、漫然と日々を過ごしている人には、本当の決意の瞬間は訪れないでしょう。

神社をはじめとするスビリチュアル・サンクチュアリには、神々がおわします。古来、そのことを肌で感じ取っていた人々は、二つの意味で、聖地を「決意の場所」としてきました。いくべき道が正しいのかどうか、神様の啓示をあおぐため。そして、意を決したことを神様にご報告し、改めて不退転の決意を固めるためです。神様への誓いは、覆すことのできないものですから、そこには自ずと覚悟が備わっていくのです。

和御魂(ニギミタマ)と荒御魂(アラミタマ)】
魂には、和御魂(ニギミタマ)と荒御魂(アラミタマ)があります。
和御魂は神の優しく平和的な側面です。仁愛、謙遜等です。
一方、荒魂は神の荒々しい側面です。勇猛果断、義侠心など。反面、災いを引き起こし、疫病によって多数の死者を出す事もあります。

鹿島神宮は武芸の神様。戦での勝利を祈願する武将

鹿島神宮は、武芸の神様としても有名ですから、戦での勝利を祈願して、文字通り命がけの思いで必勝を期した武将も多かったでしょう。その決意がどれほど重いものだったのか、現代を生きる私たちには、想像の及ばないものがあると思います。

科学が発達し、生活が豊かになるにつれて、人々は物質主義に支配されるようになりました。目に見えるものだけに価値を見出し、神々の存在を身近に感じ取るだけの感性を失ったのです。昔の人々が、神社を参拝して意を決してきたほどの覚悟を持つ人が、今、どれだけいるのでしょうか。人が気慨を失い、無責任に生きようとする時代だからこそ、意を決するための聖地として、改めで鹿島神宮の尊さを知ってほしいと思います。

鹿島神宮のご神体とも言える要石は「心の御性」

鹿島神宮のご神体・要石「心の御性」

さて、奥官のさらに奥深くには、まるで人目を避けるかのように、ひっそりと鎮座する有名な「要石」があります。要石は、天から神様が降臨されたときの御座石ともいわれ、古来多くの伝説に彩られてきた霊石です。一説によると、日本には地霞を起こす大鯰がいて、その鯰の頭を押さえているのが要石だと考えられていたそうです。

伝説の真偽はさておき、要石が強大なパワーを秘めた霊石であることは、間違いのない事突です。私自身、要石を前にしたときには、身が引き締まるほど崇高なエナジーに包まれました。要石こそ、鹿島神宮の真のご神体だといっても、過言ではないでしょう。

鹿島神宮・要石

霊的な感性の鈍い人からすれば、ただそこにあるだけの石に過ぎないものに、多くの人々が真撃な析りを俸げ、心の拠りどころにしている——要石は、いわば「心の御性」として、営々と信仰を集めてきたのです。

参拝する際には、ぜひ、要石のもとまで足を運んでください。そして、単なるパワースポットとして現世利益を求めるのではなく、信仰の原点ともいえる場に立たせていただいていることのありがたさを感じ、静かに神々への感謝を捧げてほしいと思います。
さらに、実際に要石の前に立ったとき、私はひとつのインスビレーションを得ました。要石が押さえている地震とは、必ずしも本当の地震を意味するのではなく、何かのきっかけで揺れ動く、人々の心のあり様こそが、地震のようなものではないかと感じたのです。

怒りや悲しみ、不安や嫉妬にとらわれてしまったとき、私たちの心は、さながら大地震が起こったような状態になります。自分ではどうすることもできないほどの力で、大きく揺さぶられるのです。インターネットなどの情報が氾濫する一方で、人と人との絆が希薄になっている時代ですから、私たちの心はいっそう簡単に揺れ動きやすくなっています。

一人の人間の心の振動は、家族の間の地震や学校での地震、会社での地震、社会の地震にもつながり、事件や事故の引き金になります。通り魔や虐待、自殺、猟奇的な殺人事件などは、まさに社会的な地震が起こっているようなものでしょう。

人の心が荒廃すると、世の中がマイナスの想念で満たされ、ついには天変地異を呼び込む可能性もあることは、最初に提言したとおりです。もしかすると、私たちの小さな心の地震が、現実の地震を引き起こしてしまうかもしれないのです。

鹿島神宮・要石この中に「要石」はあります。

鹿島神宮の要石は、私たちに「自分自身の心のなかにも要石を置きなさい」と教えてくれています。要石が体現しているのは、心の地震を抑えるもの、つまり自らを律する不動心だといっていいのではないでしょうか。

何事にも動じない不動心を得るのは、並大抵のことではありません。多くの先人が、不動心を養おうと修行を重ねながら、精神的な弱さに打ち克てず、悩み苦しんできたのです。それでも、自分自身を見失いがちな現代だからこそ、鹿島神宮を参拝し、魂に要石を刻むことができるよう、こ神霊に祈りを捧げてほしいと思います。

(江原啓之「今いくべき聖地」鹿島神宮より)

鹿島七不思議とは?

鹿島七不思議

奥参道に入ったすぐ右に「境内案内と鹿島七不思議」の看板があります。

確認できないこともありますが、
①要 石 その根底ふかくて図り知れずという
②御手洗 池の深さ大人 小人によらず乳を過きずという
③末無川 川の水 流れ行くほど追々かれて行末知らず
④藤の花 御山の藤の花の多少によりその年の豊凶を予知すること
⑤海の音 浪の響が上(北)の方に聞えれば日和。下(南)に響けは雨降るという
⑥根上りの松 すべて御山の内の松 幾度伐れども伐り跡に芽出て枯れることなし
⑦松の箸 鹿島の松で作る箸は松脂の出たことなしという

鹿島神宮・御手洗池

鹿島神宮・御手洗池

奥参道の端、奥宮の前に茶店があります。ここを左に2〜3分ほど下っていくと、御手洗池に出ます。
鹿島七不思議②御手洗:池の深さ大人 小人によらず乳を過きずという

鹿島神宮の御朱印(右は奥宮の御朱印)

鹿島神宮の御朱印(右は奥宮の御朱印)

鹿島神宮(かしまじんぐう)
常陸国一之宮で日本全国に約600社ある鹿島神社の総本山。
●茨城県鹿嶋市宮中2306-1
電話0299・82・1209
JR鹿島線鹿島神宮駅から徒歩7分。
高速バスでは関東鉄道鹿島神宮で下車、徒歩5分
http://kashimajingu.jp

終わりに。東国三社と大人気の東国三社守

タケミカヅチの神を祀った鹿島神宮、フツヌシの神を祀った香取神宮、アメノトリフネを祀った息栖神社。この三社を東北三社といいます。

出雲の国譲りの使者タケミカヅチの神とフツヌシの神を乗せて行ったのが、アメノトリフネです。船と言っても神様です。

この「東北三社守」が、次の写真です。三角の各面にそれぞれの神社のシールを貼ることができます。大人気ですので、売り切れになることが多いですので、あったら買っておくことをオススメします。

東北三社のお守り

東国三社守