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今野敏『黙示』新聞広告2023.8.1

今野敏『黙示』の新聞広告は今日8月1日の朝刊に載っていました。同じ広告が、1ヶ月ほど前にも載っていましたので、興味を持って今野敏『黙示』を読んでみました。

  • 黙示
  • 4億円の秘宝
  • ソロモンの指輪
  • 暗殺教団
  • 超古代文明

また、今野敏『黙示』には、このほかにもいかにも大きな謎があるかのような言葉が出てきます。

  • 山の老人
  • 山の長老
  • 暗殺教団の指導者『秘密の園』
  • アトランティス

まるで、インディー・ジョーンズの映画にも出てきそうなスケールの大きな言葉です。

あなたも興味を持ったのではないでしょうか!

しかし、あまりにもスケールの小さい話で、肩透かしを食いました。

黙示-Apocalypse-とはかけ離れた単なる内輪話!

今野敏『黙示(もくじ)』

今野敏『黙示』のストーリーも単調で、ダイナミックな展開がありません。情況設定も狭く、予算がかけられないドラマのようで、一つの舞台設定で登場人物が同じようなことを繰り返して、犯人探しをしている感じがしてしまいます。

また、最後の方で出てくる、いわゆる『ソロモンの指輪』ですが、表紙の絵の指輪とは大きく違います。表紙の指輪には、イスラエルを象徴する五芒星が描かれています。

しかし、盗まれた指輪は読者が想像しているソロモンの指輪とは全然関係のない指輪なのです。まるで、不当表のようです。

今野敏『黙示』のネタバレになりますが、本の中でもソロモン王は3人いると出てきます。そのうちの誰かの指輪なのですが、いわゆるイスラエルのソロモン王ではありません。といったネタばらしを本の中でしています。

鉄壁といえる防犯システムを打ち破り、ソロモン王の指輪を盗んだ犯人も、アルセーヌ・ルパンのような大泥棒ではなく鍵を持っていた内輪の人間です。

指輪を盗んだ理由も、偽物の指輪をつかまされた犯人の雇主のお金を心配してのことという理由でした。

「社長に目を覚まして欲しいと思ったのです。偽物に四億円も注ぎ込むなんて、あんまりだと……。そして、そのお金を回収しようと思いました」

スケール大きな言葉は、なんだったのでしょうか! 私のような読者の単なる思い込みと期待とは違っているだけ!と言われればそれまでですが……

細谷正充氏のブックレビューは?

Amazonの販売ページで、小説推理2020年8月号掲載の細谷正充氏のブックレビューで、登場人物の一人、石神達彦・私立探偵が出てきることをこう書いていますが……

組み合わせといえば、石神達彦の存在も見逃せない。元刑事の私立探偵だが、携わった事件の関係で、一部の古代史・超古代史マニアに有名という、きわめてユニークな人物である。また、過去の出来事から警察を嫌っている。この石神を萩尾と共演させることで、ストーリーがより面白<なっているのだ。

主人公の警視庁第3課の萩尾秀一警部補と石神達彦私立探偵の絡みは、そんなに面白いとは思いません。また、石神達彦私立探偵を知らない読者にとっては、それほど重要とは思えません。

こんな書評もありました。(週刊大衆)

今野敏『黙示』書評

まとめ

今野敏『黙示』の新聞広告では、本の内容が壮大なあまりに壮大なスケールで、インディー・ジョーンズの映画にもなりそうなテーマかと思いました。

それが、犯人ともど単なる内輪話とは! 肩透かしを食った読後感しかありません。

また、あまりに単純なストーリーで、何回も戻って確認するようなこともありませんでした。読みやすと言えば読みやすいのですが。

最後に備忘録のために、三人のソロモン王について書いておきます。

  1. イスラエルのソロモン王
  2. スライマーン・イブン・クタルムシュ(ルーム・セルジューク朝の始祖)1077〜1086在位
  3. スレイマン1世。オスマン帝国第10代皇帝1494〜1566

※スライマーンもスレイマンも、ソロモンとも読みます。