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はじめに、65歳を過ぎて。
65歳を過ぎて、はや2年(2020.2)。「死」を少しですが実感するようになりました。やり残した仕事、いやまだ何も成していない、そのことを思い、残りの人生で何かをするには……。
しかし、日常では満足に頭や体がついてこない時があります。
そこで、死の準備ではありませんが、精神世界のことを学ぼうと思い、江原啓之著『江原啓之 スピリチュアリズムを語る』に出会いました。
江原啓之さんの本は多数ありますが、この『江原啓之 スピリチュアリズムを語る』ほど、スピリチュアルなことを真正面から取り上げている本はないように思います。
気づいたことなど、覚書のようにまとめていこうと思っています。
スピリチュアリズムは「哲学」であり「生き方」
スピリチュアリズムとは、精神的価値観、または霊的価値観であり、そこから生まれる「哲学」であり「生き方」なのです。私たちには現世のみならず別の世界があるのです。この世にいまだに蔓延するスピリチュアリズムの誤解を解き、本当のスピリチュアリズムとは何か、スピリチュアルに生きるとはどういうことかを、多くの方々に知ってもらうためにまとめました。
スピリチュアリズムへの誤解や霊感商法
私が日本にはまったく知られていなかったスピリチアリズムを紹介するようになったのは20年前(1990頃)。マスメディアで広く語りかけ始めてからも10年近く経ちます。
「スピリチュアル・ブーム」などと言われて、過剰なまでに世間が騒いだ時期はようやく過ぎましたが、おかげさまで今なおスピリチュアル・カウンセラーとして活動させていただいています。
しかし、こうして20年間走り続けたのに、いまだに本当のスピリチュアリズムを伝え切れていないという忸怩たる思いがあります。本や講演会でこれだけ多くの人に語りかけても、スピリチュアリズムへの理解が足りなかったり、誤解していたりする人がいまだにいるのです。
たとえば雑誌やインターネットでは、
「〇〇を身につければ、すてきな結婚ができる」
「毎日△△を実行して、大金が入った!」
などの言葉が躍っています。しかし、その幸せの価値観はどれも、現世という限られた期間における幸せ、目に見える幸せだけをとらえたものになっています。霊的なことを語りながらも、現世の物質主義的価値観の視点でしかないのです。
何より私が危倶しているのは、そうしたまったくスピリチュアルでないことが平然とまかり通っていることです。宗教やオカルトと一緒くたにされ、ひどいものではスピリチュアルという言葉を利用した霊感商法まで存在します。生半可な情報や知識を鵜呑みにしていれば、スピリチュアル批判が噴出するのも無理はないと思いますが、それはスピリチュアリズムを理解している私にとってはつらいことです。
現在のスピリチュアル批判は、いわば火事になったとき、「ガス会社のガスの使い方説明が不十分だったせいだ」と責任転嫁するのと同じ。大人なら、自分の判断で火の元に注意するのは当たり前だと思います。
スピリチュアリズムの起源
そもそもスピリチュアリズムは、死後の世界を真摯に研究する心霊研究から出発しています。心霊研究を重ね、霊的世界というものを否定できないというふうに痛感した人たちが、
「そういう別の世界があるならば、今までの常識は間違っていたのではないか。自分たちが正しいと思っていた価値観は全部がひっくり返り、私たちの人生の目的そのものが変わってくる」
と方向転換をしたわけです。
すなわち、スピリチュアリズムとは、精神的価値観、または霊的価値観であり、そこから生まれる「哲学」であり「生き方」なのです。私たちには現世のみならず別の世界があるのです。そして、霊的価値観に合わせて生きていこうとした人たちを「スピリチュアリスト」と言うようになりました。
スピリチュアルに生きることは、魂の旅。
私はいつも、生きることは魂の旅だと申し上げています。スピリチュアルな世界から私たちはやってきて、経験と感動という名所を訪ねて喜怒哀楽を味わい、魂を磨いてあの世へ帰っていく。そのふるさとがスピリチュアルな世界なのです。
そこで本書は、この世にいまだに蔓延するスピリチュアリズムの誤解を解き、本当のスピリチュアリズムとは何か、スピリチュアルに生きるとはどういうことかを、多くの方々に知ってもらうためにまとめました。真髄に至るまで余すところなく言及していますので、読み進めるうちに「よくわからない」と感じた人は、今はこのまま本を閉じても構いません。時に少し厳しいことを申し上げるかもしれませんが、それもスピリチュアリズムをきちんと理解していただくための苦言だととらえてください。
20年の活動を経て、私自身も一度、スピリチュアリストとしての原点に立ち返るべきではないかと考えるようになりました。「人はなぜ生まれ、いかに生きるのか」、私がこれまで述べてきた本当のスピリチュアリズムのあり方を、自らが実践してお見せする時期が来ていると感じています。そのための道しるべを、ここに書き記していこうと思います。
『江原啓之 スピリチュアリズムを語る』(2009.12)より